青空文庫と読書教育
青空文庫は読書教育にとっては力強い味方です。名作といわれるものを無料で配布できるのは一斉授業を原則とする日本の教育システムにとってはとても助かるのです。しかもICT教材を使えば印刷や配布も省略できるのです。
さて、昨日から谷崎潤一郎や江戸川乱歩らの作品が青空文庫に加わりました。作家の死後50年が経過した作品の著作権がなくなることによります。授業で彼らの作品を扱うことはあまりなさそうですが、生徒に多くのそして多様な作品を手っ取り早く読ませるためには歓迎すべきことです。
アメリカでは著作権の保護期間を死後70年としており、日本政府にも保護期間の延長を求めているようです。これに対して日本では出版物は50年、映画は70年となっており、当面は変わりそうもありませんが、海外の動きに影響を受けないことはないと思います。教育現場の立場からすれば保護期間の延長は避けてほしいものです。
いわゆる名作に関していうのならば、青空文庫で読んだ本を、出版物でもう一度買って読むというが流れもあります。青空文庫はあくまでテキストのみの提供であり、その解説や注釈に関してはまったくありません。50年前の書物は子供たちにとっては立派な古典であり、辞書だけで読めるとは限らないのです。逆に言えばこれからも出版物は適切な解説や注釈が付されたものに需要があると思います。
とりあえずは個人の楽しみとして「春琴抄」や「桜島」を読み直してみようと思います。そしていつかは授業で使えるようにと算段しているところなのです。