はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

不満の先

 アメリカ大統領選挙の共和党候補であるトランプ氏の勢いが止まらないようです。政治家としての経験はなく、ビジネスの成功者としての毒舌を含んだ強気の発言が目立つ人物です。強い者が利するのは当然だというアメリカ人の本音を表面化してくれている人物ともいえます。

 国際情勢において世界の指導者的存在を演じ、それなりの役割も果たそうとしてきたアメリカが、すでにその力が失われつつあり、自国の利益を最優先にしたいとの思いは以前からあったようです。本当に余裕がなくなりつつある中で、不安や不満を公言してくれる存在として支持を集めているのでしょう。

 仮に彼が大統領になったとして、今の勢いのままで行政の長を務められるかといえば疑問です。不満のカタルシスとしての大統領に、期待できることはその解消ですが、メキシコ国境の壁の話のように実現不可能な問題を次々に先送りにしてゆくことにより、かえって不満を高める結果になりそうな気がします。日本をはじめとする同盟国との関係についても波乱をもたらすことでは、アメリカ自体に不利益をもたらす可能性もあります。

 共和党がより健全な候補をトップにできなかったことに大きな原因を感じます。アメリカ国民の叡智に期待するしかありません。また、同様の現象は我が国でも起こりうることです。現状への不満を感じる時勢となった時ほど、次の代表選びは慎重であるべきでしょう。これは過去の歴史の教訓でもあります。