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漢字の字形

 文化庁文化審議会国語分科会が漢字の手書きの字形についてかなり寛容な方針を発表しました。とめ、はねなどのバリエーションを広く認めるべきだという考え方です。

 確かに漢字の字形は本来、書体の違いがあるのに加えて、最近は印刷などで使うフォントも実に多彩であり、何をもって基準とするのかが分かりにくくなっています。そこで「令」の字体が手書きの場合、下の部分が「マ」のようになるのを別字と考える人が出てくることになります。手書き書体の多様性は認めるという以前に既存事実です。しかし、だからと言ってどんな書体でもいいというのは順番が違います。

 教育現場にいると、さらに私のような国語教師の場合、漢字の書体にはどうしても敏感になります。行書や草書に近い書体を書かれるとちょっと待ったと言いたくなります。少なくとも中等教育の場では手本となる漢字の形は存在してほしいし、それをまずは覚えさせたいのです。教科書体と呼ばれるフォントはその意味でデファクトスタンダードであり、徹底して覚えてもらうべきだと考えています。その後自分にあった書体が生まれてもそれはそれでよいのです。

 手書き漢字の字形に関しては寛容であっても構わない。しかし、教育現場ではやはりある基本形を想定し、それを迷わずに教えるべきだと考えています。