はてなの毎日

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中古市場が存在する意味

 私は古本や古着といった中古品に対してあまり抵抗がありません。人によっては他人の手が触れたものには商品価値が感じられないという人もいますが、私はさほどではありません。むしろ、経年劣化の中に潜む美意識のようなものを感じて勝手に盛り上がってしまう方です。

 だから、古着なども実は多く着ているのですが、誰からも気づかれず、時には自らセコンドハンドであることを暴露して相手の反応を楽しむこともあります。かくして私にとっては中古市場は趣味的な要素も含まれるものなのですが、これが果たして社会的には如何なものなでしょう。実はそれが気になっているのです。

 ものを大切にする文化的素地は我が国にはもともとあったようで「もったいない」の精神は長い歴史があるのでしょう。ただ、それが恒常的な原則ではなく、状況に応じて浪費家にもなるという面も隠し持っています。中古市場が発達しているにもかかわらず、経済的な停滞が起きないのは、購買の志向が個人レベルでも分裂している、よく言えばメリハリのある消費行動が影響しているのかもしれません。

 大量消費が経済の原動力のように教え込まれた私たちの世代にとって、新しい生産物に背を向けることには無意識の後ろめたさがあるのではないかと思います。しかし、昨今の社会事情を鑑みるに様々な意味においてセコンドハンドはもっと広まらなくてはならないでしょう。例えば、ゴミの処分問題、資源の活用という点だけでもその事はいえます。

 張り込むものには惜しみ無く、そうでないものは慎ましく、場合によっては中古品も視野にいれるという選択が必要なのでしょう。金をかけるものの違い、つまり、多様な価値観がある限り、中古市場が経済を停滞させることはないはずです。