はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

現実の描写

 ナビ派の絵画を観て感じたのは現実を描くことの深遠さです。何かの絵を描くということは果たして対象の図形を紙面に再現することなのか、それとも対象から得られた表現者側の心象を描くことなのかということです。

 絵画だけではなく、文章表現においても同様の疑いがそのまま当てはまります。事実の描写というものがそもそも成り立つものなのかを改めて考えると話はさほど単純ではないことに気づくのです。

 同じものを見ても、同じ体験をしても、結ばれる映像や言葉は個々人で異なる。まずはその点の確認から始めなければこういう問題は分からない。最近は情報化のあまり、思考や行動までもが類型化もしくは画一化されています。自分の求める回答は検索すれば分かると信じている。

 でも、やはり自分以外の見る世界は何かが違うはずです。現実とどう向き合うのかが大切であるという、あまりにも根本的な確認を意識する必要を感じるのです。