はてなの毎日

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絵を描くこと

 全く上手くないのですが最近よく絵を描きます。いろいろなものをスケッチしているのです。そのたびに自分の画才のなさを確認することになっています。それでも、絵を描くことによって様々な発見があるのはとても興味深く、当面は続けていきたいと考えています。

 例えば、人の表情を描く場合、漫画のような類型化した輪郭線や目鼻の描き方は現物とはかなり違うことに気づきます。顔はかなり複雑な図形であり、そのちょっとした配置によって、微妙な差異を感じ取ります。絵にしてみるとそれがとてもよくわかります。私たちが他人の感情を読み取る際にいかに相手の顔を読んでいるかということをです。表情筋の発達が人類の進化上重大な役割を果たしたという説もあるようです。

 逆にそのほかの対象物の中にはかなり単純化類型化してみているのものが多いことにも気づきます。実物の複雑な構造をそのまま写し取らなくても、ある方法に乗っ取って省略して描くことで実物に近い味わいがでます。植物の群生などは一枚一枚の葉を描かなくても陰影をつけるだけでそのように見えてしまうのは驚きです。逆を言うと私たちはそういうレベルで物を見ているということなのかもしれません。

 このように絵を描くことによって、私たちは何を見て何を見ていないのかを認識することができます。また、普段は見逃している何かを意識したり、こだわりすぎている細部を気にせずにすむことを確認したりすることもできます。その意味で下手な絵を描くことにも何らかの意味はあるのではないかと思うのです。