次は何を引き換えにする
最近、多くの店でポイントを付与するというサービスがあります。リピーターを獲得するための手法として昔から使われてきた手法ですが、それがコンピュータ処理され管理されたことによって、店舗を超え業種を超えてポイントが付くようになりました。つけられたポイントはネット上でも確認でき、現金代わりに利用することもでき大変便利です。
しかし、多くの人が自覚しているようにこれは自分の消費動向の情報提供と引き換えにしています。どこで何を何時にいくつ買うのかといった詳細情報がポイントと引き換えに企業側にわたっています。ポイントシステムに加入する際には氏名のほか、性別、年齢、住所などを登録させられるので、これは商品開発や販売戦略にとって貴重なデータを毎日収集していることになります。巨額を投じて行ってきたマーケティング調査がリアルタイムでできるわけですから少々のポイント還元は損失にはなりません。また、少なくとも利用者側に利益が感じられるのであり、両者に得の関係を作れます。
実は引き換えにしているのはそれだけではありません。ネット検索をしたことがあればわかることですが、何かを検索すると自分の興味のある項目が上位に来ていることが多いです。それは検索履歴を検索会社が把握しており、それが表示に反映されるように仕組まれているのです。また、閲覧履歴をもとにサイト内の広告が調節され表示されることがあります。これらも自分のネット内行動が他者に把握されていることを示しています。
さらに最近スマートスピーカーなるサービスが広まりつつあります。これは音声やゼスチャーなどによって操作できる端末で、回答を音声で戻してくれるものです。AIの発達を実感できる機械であり、新鮮さもあって急速に広まる可能性があります。
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でも、これらの便利さの背景には音声情報を常に企業側に引き渡しているという事実があります。常時接続された「盗聴器」を自ら自宅に置くことになるわけです。
今私がいだいている危惧はおそらく正しいと思います。でも、使っているうちにその便利さや革新性に判断基準が揺らいできてやがて何でもないものになってしまうことは十分に予測できます。なぜなら、私はすでに多くの私的情報をクラウド上に保存しそれに対する不安が完全にマヒしているからです。
音声まで引き換えにした私たちは次は何を引き換えにするのでしょうか。