はてなの毎日

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作者の意図

 国語が苦手な小学生の母親からの相談で次のような話を聞いたことがあります。国語の問題で「とはどういうことですか」という形の設問に対して、たいていの場合そのこどもは自分の考えを述べてしまい結果的に誤答になってしまうというのです。国語の設問は結果的には出題者が何を聞きたいのかを把握することが大切です。現状の国語の問題は論理的な読解力を試すものであり、個人の意見を尋ねることはめったにありません。

 「作者はどのように考えていますか」とか「本文の内容に沿って説明しなさい」とかいう設問も、この文章ではどのように述べたれているのかを分かりやすくまとめよということを求めるものであり、解答者のユニークな意見を求めているわけではありません。そのあたりを理解していない小学生は意外にも多いようです。

 中学に入っても同じように考えている生徒が時々います。自分の考えで答える生徒はさすがに減りますが、世間一般の常識という前提を設けて解答を作る人は一定数います。聞かれているのはあくまで本文に書かれていることであり、それを正確にたどることが必要です。大人にも国語はセンスがなくてはできないとか、文才が必要なのだとかいう人はいますが、これも国語という教科の目指す本質を取り違えているようです。

 国語はあくまで論理展開を正確にできることを、そしてそれを受け取れることを目指した科目です。その意味では極めて単純な科目といえます。作者(実は出題者)の展開する世界を正確につかむ力が国語という教科の力の尺度の一つになっています。