どこまでごまかせるのか
最近、仮想現実技術の可能性に関する本を読みました。開発者側の視点で書かれたものであり、概ねそのポジティブな側面が並べられていました。
その中で、将来は海外出張が激減し、地球環境のためにはよい事態になるというのがありました。VRを使って会議をすれば、わざわざ出向かなくても会議が可能なのではないかというものです。握手などのボディコンタクトまで忠実に再現できれば、ビデオ会議でも果たせない細かい感情のやりとりまで可能になるというのです。
しかし、このことに関してはそれほど容易な問題ではないでしょう。私たちは言語、非言語の様々な情報に加え、同じ空気を吸っているという感情的一体感も感知します。それが意外にも大きな比重を占めているように感じます。もちろん、私たちには空想力という能力もありますが、会議の内容によってはそれが働きにくいこともあります。
VRがどこまで人間の感受性をごまかせるかにかかっているのでしょうが、私にはかなり困難なことだとしか思えないのです。