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再興第103回院展横浜展

 横浜そごうにあるそごう美術館で開催中の「再興第103回院展横浜展」を観てきました。86の作品は多種多様であり、一概にまとめることはできません。ただ巡覧することから受ける印象は、日本画と洋画の画法の融合は独特の表現法を生み出し、さらにまだ発展しつつあるというものでした。

 写実性の高い風景画はあたかもそこに窓があるかのように感じさせます。しかし、よくそれを見ると画家が何に注目したのかがしっかりと描かれており、決して光学的な産物ではないことに気づきます。光の描写は明らかにディフォルメされており、本来直線であるはずの光線がわずかな波のようにも見える作品もありました。恐らくそのように見える風景だったのでしょう。心象を写したものと見ることができました。

 いわゆる抽象画はほとんどありませんでしたが、実景よりも心象風景を中心に描いた作品も多数ありました。目に見えることをそのまま描くのではなく画家の心に浮かんだものを対象を媒介にして形象化したものといえるのでしょう。この日は偶然、「魔物語」という作品を出品している村岡貴美男氏がギャラリートークをしていましたが、その言葉で印象的だったのは、絵は読書のように見るものだという意味の発言でした。そこに何が描き込まれているのかを読み解くようにみることが絵画の楽しみであるというのです。文字のような情報伝達力が強い記号でない分、絵画はその広がりがあるが、それを描くことに意味を感じている、と説明されていました。

 絵画という表現手段は実に奥が深いものであると改めて感じました。このデパートのなかにある美術館は、作品との距離が近く観覧者もそれほど多くはないのでゆっくりと楽しむことができる穴場だといえます。