はてなの毎日

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素直ではない作文

 生徒に自分の意見を書きなさいという課題を出すことは国語教員ならば何度もあります。正直に自分の意見を書くという行為そのものはとても意味があることであり、やらねばならないことだと思います。ただ、自分の意見を書くのに10分とか20分とかしか与えないのでは考えは深まりません。生徒はそれなりにもっともらしいことを書くのですが、教員が喜びそうなことを忖度して書く予定調和的なものしか期待できません。そういう課題を出す時にはそれなりの準備と時間とが必要です。

 それならばと最近はちょっと別の指示を出すことがあります。例えばある課題に関しての答えを考えてもらいます。場合によってはモデルとなる解答をいくつか示し、それに近いものを選ぶか参考にして自分の答えを作ってもらいます。そして、その答えに合うような文章を構成してもらうという方法です。文章にはある程度の「型」を示しておきますので、それに当てはめて書けば短時間でもある程度のことは書けます。

 この方法は意見そのものよりも、それを論理的に書く方法・手段を鍛えるための指導法といえます。国語科が目指す目的はもちろん自分の意見形成が究極の目的ではありますが、その過程として文章構成力とか論理的思考力というものが身についている必要があります。そこで結論を考えさせることより文章を書かせることに注力することも必要になるのです。

 見方を変えれば「素直に自分の意見を書く」のではない作文もまた時には必要ではないかというのが私の意見です。