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会議の俯瞰

 最近読んだ本の中にファシリテーターの重要性が書かれていました。会議をメタ認知することの必要性が述べられていたのです。読んでいて気付いたことにこの件については国語の授業との親和性がかなり高いということがあります。

 会議をうまく運営するためには、到達点を先に想定する必要があります。何らかの結論を出すための会議なのか。結論よりも問題点を洗い出すことに目的があるのか。そのいずれでもなく、構成員の仲間意識を高めるための話し合いなのか。まずそれを決めなければ会議は成功しません。

 議事を進める上でも問題点の内容、所在、解決策、解決の手順などを順番通りならべなければ会議は混乱します。また発言しすぎる人や何も言わない人、言わないけれど意見のある人、無関心な人、それぞれを活用しなければ会議をやる意味は半減します。

 国語の授業に当てはめればまず思考の構成力を個々人のレベルで高めておく必要がある。それを具象化するのが文章の作成練習です。何でも自由に書かせるのではなく、考え方の手順に沿って文章を書かせることを繰り返しさせることで、考え方の手順を浸透させます。

 次に目的を絞ったディスカッション練習ができます。短時間である目的を達成させるための話し合いの時間を設けます。これも漠然と議題を与えるのではなく、ある程度考え方の手順を踏ませ、それに乗っ取って解決を導く方法を考えさせる経験を積ませることが必要です。

 司会進行の体験を積ませることも大事です。ついリーダーシップのある生徒に任せてしまいがちですが、なるべく多くの生徒に司会進行をさせるような工夫をさせます。これもある程度ガイドを示し、終了後何らかの達成感が得られる工夫をします。

 このような実践を繰り返すうちに会議の進行を俯瞰的に見られる能力が身についてくるのではないかと考えています。ファシリテーターとしての特性を獲得できる人は現状では限られていますが、これをなるべく多くすることが国語科の重要な教育目標の一つではないでしょうか。