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世紀末ウィーンのパワー

 乃木坂の国立新美術館で開催中の世紀末ウィーンをテーマにした展示を見てきました。クリムトの大作は印象的ですが、この展示の面白さは時代の気風を美術品で表現しているところにあります。

 ウィーン会議後のヨーロッパが抱えていた旧体制からの脱皮とそれに伴う迷走や混乱、さらには新たな戦争の気配などが展示の背景に浮かび上がるのです。表面的には華やかでも、奥底に感じられる闇のような不安が色彩や、輪郭に見えてくるような気がしてなりませんでした。

 時代が動く時に優れた作品が生まれやすいのはこれまでの歴史が証すところです。その思潮を具現化できるのが芸術家というものなのでしょう。