はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

海難未遂

 こどもの頃の思い出です。少しうねりがあった大洗海岸に私と弟だけで少しだけ海に入って遊んでいました。弟は浮輪に乗って、私はそれに横からつかまって立っていたのです。

 海岸特有の引き潮がその日は少しだけ強かったようで子どもの足では支えられないほどの力を持っていました。その結果、私たちは少しずつ浜から引き離されてとうとう戻れなくなってしまいました。浜辺にいた父もこの様子に気づいた時にはかなり沖に出ていたのです。

 こどもの想像力では理解できない深い海とこのままどこかに行ってしまうかもしれない恐怖心が生まれました。弟はそのことをまだ分からないようでまだ騒いでいませんでした。でも、私の足が全くつかなくなって慌てておぼれそうになる段階に入ると弟も異変に気づき泣き出しました。

 このまま海の向こうに行ってしまうのかもしれないと思った時、近くにいた大人が助けてくれました。沖合と思っていたのですが、実は大人の足が届く程度の深さであり、おそらくは監視員もいたはずです。でも、当時の私にとっては一種の臨死体験であり、忘れられない思い出の一つです。海を見るのは気持ちがいいですが、ごくまれにこの日のことを思い出してそこはかとない恐怖に包まれるのです。