はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

創って捨てる

 かつて俳句を教えてもらった方から俳句はたくさん作ってたくさん捨てることが大事なんだという意味の言葉をいただいたことを思い出しました。アウトプットにはそれなりの試行錯誤が必要であり、その中からよいものが生まれることがあるということなのでしょう。

 創作的に生きたいと思うこの頃ですが同時に自分の才能のなさにも日々痛感しているというのが現実です。凡人には凡人の創作の仕方がある。それは大量の作品を作り続けてそのうちに新しい何かが生まれてくるのを待ち続けるということです。物質の大量生産大量破棄は問題がありますが、作品に関しては作り続けることに意味があるのです。俳句のように景をもって情を写す創作は、常に物と向き合うことを続けなくてはならず、ある日突然名作が浮かぶというものではありません。

 文学館で小説家の展示をみるとやはり作品の裏に大量の習作があり、創作メモが数多く残されています。そうしたことをし続けることこそが、芸術家の本領というのだと感じます。これは絵画や彫刻でもそうです。また実用の分野でも常に失敗作を作り続けている人はいい仕事ができるようです。一流の人々でさえこのようなのですから、まして凡人は駄作を作らずしてどうして人並みの作品が作れるでしょうか。

 創って捨てるを実践できるかどうか。それがその道の達人になれるかどうかの分かれ目であるといえるのでしょう。