はてなの毎日

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雲の美学

 三菱一号館美術館で開催中の「コンスタブル展」を観てきました。イギリスの風景画家といえばまずターナーが思い浮かびますが、コンスタブルは同時代のいわばライバル的存在であり、その画風も独自なものがあったと言えます。

 展覧会を観て思ったのはイギリスの風土がもたらした絵画ということです。キャンバスの大半は空で、そこには複雑な雲が描かれています。雲自体もさまざまな造形があり、陰影を伴っています。それに応じて風景も光の強弱がもたらされています。描かれる地上の風景の明暗も雲の有り様に左右されるのです。

 おそらく英国の気候がこのような絵画を生み出したのでしょう。雲は雄弁でありそれに注目したのがコンスタブルの絵画の特徴と言えます。天候が複雑なのは日本も同じ。さまざまな雲のあり方を芸術までに高める風土は日本にもあります。