はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

感情の受け渡し

 中高生の演劇を指導している方に話を伺う機会がありました。いろいろな有益なお話の中でも特に印象に残ったのは、会話は言葉の応酬ではなく、感情の受け渡しであり、そのことが分かっていないと台詞の言い方が間違ってしまうというご助言でした。
 私たちが他人に何かを伝えようとするとき、まず伝えたいという気持ちが先にあって、それを言葉にするのがふつうの順番です。ところが学校演劇では台詞を覚えることに熱心になるあまりにその感情の表現を副次的にしてしまう。だから演技に嘘が出るのだというのです。
 感情を大切にするために、その方は演劇部員に感情のキャッチボールを非言語でさせるそうです。つまり、喜怒哀楽をマイムで表現して、その反応を相手にも非言語でさせる。次にマイム、言語の順で応酬をするというのを意図的にさせるのだそうです。
 なるほど、指導というのはかようにやるものだと納得しました。
 なにごとも先達はあらまほしきことです。