はてなの毎日

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観客の視点

 生徒向けの演劇講習会の引率をしてきました。多くの学校演劇部は部員不足に悩まされており、専門の顧問、コーチがいる学校も少ないため、練習方法が伝承されず、結果として一層生徒が集まらないという悪循環が起きています。その解消として県の青少年センターの演劇部門の出張授業という形で行われたものだったのです。

 さまざまな練習の後で、演劇部の行う演劇が心がけるべきことは何かといった趣旨の質問が出ました。講師は参加者からさまざまな意見を吸い上げた後で、一つの答えとして、演劇は自分たちが考え作り出したメッセージを、観客に届けて完結するものであると説明したのです。

 生徒の演劇は多分に自己完結型になりやすいのは事実です。自分が楽しければいいんだという方面に流れやすい。しかし、それでは演劇としては未完成であるというのは基本であり、とても大切なことです。演劇は他人を演じながら、他人の視点を様々な方法で想像する機会を与えてくれます。与えられた役や、自分以外の役の視点を察することはもちろん、演じている自分たちがどのように客席から見えているかを考えるメタ認知が求められているというわけです。

 こういうことを直感的に感じさせることができるのが演劇の面白さであり、教育的な効果もあると思います。