はてなの毎日

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何が真実なのか

 若い人に向けて書かれたメディア・リテラシーの啓蒙書を読みました。メディアが真実を伝えるとは限らないというよくある話です。著者はもともとジャーナリストで自分がニュースを作る時、どうしても主観が入ってしまうということを具体的な例をあげて述べていました。例えばカメラをどこに向けるか、どういう順番で映像化するか、何を話題としてどういう手順で話を作るか。そういう送り手側の作為がニュースの印象を決めてしまうというのです。確かにその通りです。

 私たちはメディアによって情報を知り多くの利益を得ますが、知らず知らずのうちに伝えられたことを前提にして物事を判断しています。その情報の信憑性についての判断については思考停止をして何の違和感も感じないままに。だから、何が真実なのかを見極めるという努力を怠ってしまうのです。

 メディアは場合によっては権力の監視役にもなり、民意を伝える道具にもなります。しかし、功利に走って国民を扇動することもできる。まさに諸刃の剣です。この鋭利な存在をうまく使いこなすことこそ現代人に求められているスキルなのです。インターネットなどの新しいメディアのあり方が事態を余計難しくしていますが、メディア・リテラシーの習得は焦眉の急であり、学校教育の大切な要素なのかもしれないと考えているところなのです。