西山美術館

　昨日、町田市野津田にある西山美術館に行ってきました。西山由之氏のコレクションを集めた私立美術館です。美術作品としてはロダンの彫刻と、ユトリロの絵画を収集しており、特にユトリロに関しては世界有数のコレクションだそうです。

　野津田は町田の中では緑の多い地域であり、鶴川からこのあたりの一帯はかつては作家や芸術家などの住居が点在していた場所でした。西山美術館のある場所は小高い丘になっており、眼下に鶴川の街を見下ろすことができます。

　この美術館はいい意味で雑多な感じがします。美術品とは別に水晶やアメジストなどの巨大な宝石が並び、石のパワーを神格化した神社まであります。入場料は1200円ですが、ＪＡＦ会員証を見せると900円になりました。ずいぶんの割引です。

　ロダンの彫刻に関してはバルザック像などの興味深いものもありましたが、やや散漫な展示であり、印象に残りませんでした。それに対してユトリロの絵画の展示は素晴らしく一見の価値があります。

　ユトリロは心に大きな傷を抱えて生きていたらしく、その素行は奇行というべきものであったといいます。精神病院への入院もあったようですが、その間も含めて、絵画を描き続けていました。そんな関係でユトリロの絵画は実に多様で、病的でもあります。極度にぼかした線で構成された絵があると思えば、明るい色彩を多用した絵画もあり、同じ画家の作品とは思えないほどでした。見ていて少々心がいたくなるような作品が並んでいます。画家の人生が絵になったものであることを痛感しました。