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卵と兎

卵と兎 

私の最寄り駅の商店街に卵とウサギのデコレーションが飾られています。どうやらイースターにちなむものらしいのです。イースターは復活祭ともいい、イエス・キリストの復活を祝う祭りです。この祭日は年によって移動します。それは「復活祭は春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と決められているからです。今年の場合は3月23日です。話は単純ではありません。これはグレゴリオ暦を用いるローマを中心とする西方教会の規定であり、ギリシャ正教と呼ばれる東方教会では現在ではあまり使われないユリウス暦を基準にするため同じ規定を使っても4月27日が復活祭ということになります。
 さて、この復活祭に卵とウサギが関係するのは、いずれも生産・多産のシンボルであるからのようです。つまりこれはキリストの復活とはもともと無関係だったものが、習合したものと考えられています。わが国にも春先にはさまざまな生産儀礼があり、中には一見きわどい性的行為を再現するものもあります。民俗学では人間にとっての生産の様を見せることによって、穀物の霊魂を刺激し、豊作に導くものと解釈されています。
 ヨーロッパにも同様の考え方があったと考えられます。おそらくキリスト教以前の習俗が形を変えて今に伝えられたものと考えられます。そういえばバレンタインやクリスマスにもそういった要素がありました。
 キリスト教の祭礼はわが国にもいろいろと形を変えながらも受容されていますが、イースターに関してはさほどではありません。日付が一定しないことに加え、この祭事の意味が周知されていないことに原因があるのでしょう。