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ゼルビア、ヴェルディとの対戦の意味

 いよいよFC町田ゼルビアの初めての天皇杯挑戦の日が近づいてきました。相手はJ2の東京ヴェルディです。同じく東京多摩地区に本拠を置く両クラブにとってまさにダービーともいえる好カードになりました。
 実力的には明らかにヴェルディが何枚も上でしょう。ヴェルディは現在J2でリーグ6位、10勝6分7敗で得失点差が+7ですから、あきらかにリーグ上位チームです。昨年JFLで戦い、ゼルビアがその成績を上回ることができなかったギラヴァンツ北九州(元ニューウェーブ)は1勝10分12敗で19位(最下位)ですから、いかにJ2のレベルが高いかが伺えます。だから、統計上は勝つ見込みはかなり低いことになります。
 ところが天皇杯という一発勝負にはしばしば番狂わせが起きています。昨年は松本山雅FCが浦和レッズを完封で破りました。また東京都代表の明治大学はJリーグチームを2チーム倒す大活躍でした。上位カテゴリーのチームには格下に絶対に負けてはならないというプレッシャーがありますし、リーグ戦とのバランスも考えなければならないという事情もあります。相手は通常守備を固めてきますので、簡単には点が取れません。焦るあまりにカウンターを浴びるということもあります。つまり、何がおこるかわからないという危険性があるわけです。
 ヴェルディは財政上の困難を抱えており、一部で解散がささやかるほどの状況に追い込まれています。その中にあって選手の士気は上がっており、ユースチームが東京都代表になったことも選手の心理に大きな力になっている可能性もあるでしょう。追い込まれた名門チームは下位リーグのゼルビアには絶対負けられません。本拠が隣接するだけに観客の獲得という点からもここでは大差で勝利し、強いヴェルディを印象付けたいところでしょう。
 ゼルビアは上昇傾向にあって観客動員にも成功しています。しかしあくまでそれはJFLレベルでの話であって、全国区ではありません。天皇杯出場を機に大衆の注目をひきつけたいところです。昨年松本山雅が成功したように、Jチームを倒すことは知名度をあげコアサポーターを一挙に増やす絶好の機会です。上手くいけば経営上プラスになるだけではなく、もっと大切な選手の士気を高めることにつながります。注目されればセレクションに集まる選手も増え、戦力アップにもつながります。
 ゼルビアとしてはたとえ負けたとしても善戦できれば選手・サポーターは一応満足できるでしょう。ただし大敗はイメージダウンにつながります。選手はJへの挑戦ということで思い切りぶつかれると思います。元Jリーグ選手は意地を見せるチャンスになりますし、J未経験者は腕試しと自己PRのチャンスです。どちらがやりやすいかといえば明らかにゼルビアでしょう。
 サポーターの勢いもこの試合の見所です。ヴェルディはこの試合を機にサポーターの結束力を高めたいところです。いままで地域密着という点でもうひとつ成功していなかったので、ゼルビアという同地域対決はそれをサポーターに意識させるチャンスです。
 ゼルビアは試合にたとえ負けることがあったとしても、サポーターの勢いがまさればそれだけでこの試合は大成功といえるはずです。ゼルビアの応援はまだまだ控えめです。来年昇格すればより大きな応援が必要になります。Jチームとの対戦でそれなりの存在感が示せれば大きな意義をもつでしょう。
 最初のJリーグチーム対戦相手としては最高のヴェルディと試合をさせてもらえるゼルビアはそれだけでかなりの強運といえるでしょう。いい試合をしてほしいと心から願います。