はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

消費者の意識改革

 安ければそれでいいという考え方は、結局人々をないがしろにし、自分の存在を危うくします。ファミリーレストランの話に例えると、よくわかります。
 ファミレスの激安メニューは流通の工夫もさることながら、従業員の削減による人件費の切り詰めが大きい要素であるのは周知の通りです。ベルで呼ばなくては来ないウェイター、客が帰っても下膳しないウェイトレスなどいまでは当たり前になってしまいました。アルバイト店員を十分な数雇っていないための現象です。誰しもおかしいと思いながら安さの代償として容認してしまいます。
 この許しが人間を疎外してゆきます。食事の文化的意味ももてなしの精神もコストダウンの対象としかとらえられないのです。日本には形なきものに金を払う習慣が定着していません。もてなしは自主的かつ無償で行われるものという伝統がありました。これはそれでうるわしいものです。
 しかし、サービス業はすべて形なきものを売る産業であり、それを無視することは大きな問題です。私たちはサービスに関してもっと敬意を払うべきであり、その質に対しても要求を高めるべきだと思います。それが人を尊重することであり、その結果として雇用の場が生まれることにつながるのです。
 表面的な価格だけでものの価値を判断する悪習をやめることが現在の不景気の打開には欠かせません。