主述の一致
全国の小中学生を対象に行われた全国学力テストの結果が発表されました。国語教員としてはその結果に関心を持っています。県別の平均点のランキングばかりが話題になりますが、それよりも私は日本人の知的活動の根本に当たる基礎的な国語能力がどのように育成されているのかに興味があるのです。
今回の小学6年生向けテストでは主述の不一致を指摘させる問題がありました。「反省点は、用具の手入れをあまりしませんでした。」という文が主述不一致ということを気づかせ、訂正させる問題です。これだけを取り出すとさすがに間違いに気づく児童は多いと思いますが、問題文の中にあるとやや探すのが難しくなります。また、話し言葉としてはこういう言い方は普通に聞かれるので、これが違うということをしっかりと認識するためには、書き言葉を読んだり、自ら書いて添削される経験がどれだけあるのかが大切ということになります。
中学3年生むけの国語では図表を読み、書き手の意図を読解する力が求められる問題になっています。本文の読解はもちろん、図表を通して書き手が何を伝えようとしているのかを的確に言葉に置き換える力が求められています。この傾向は新大学入試の共通学力テストにも共通するものであり、世界的な学習評価にもつながるもののようです。国語が他分野の思考力の基礎を担う科目であることを改めて認識したのでした。
識者の見解では国語力の教育にはまだ課題がたくさんあるとのことです。現場の教員としてはやるべきことを見直し、さらに研鑽を積む必要を感じます。
依存症に国は責任を
統合型リゾート施設に関する法案が通過しましたが、この中に含まれるカジノは必ず一定数の依存症を生み出すことが先行実施している国の報告から明らかです。その数は数万人もしくはそれ以上と考えられています。
IRが効率よく外貨を獲得する方法というのは事実のようです。それだけで立国している国もあるほどなのですから。しかし、他国がそうだからといって日本もそれに倣う必要はなかったのではないでしょうか。他の分野で国際的競争力を失いつつあるこの国の賭博的行動と言わざるを得ません。
法案に賛成した議員には是非自らカジノに私財を投入し、さらには依存症になった人の救済をすることを誓っていただきたい。作っておいて、それに参加した人に自己責任だなどと言う人がいるのなら、人格を疑わざるを得ません。
カジノなしのリゾート施設で勝負できるほどの文化を創出することの方に注力してほしいと思います。