はてなの毎日

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危険なめぐり合わせ

 憲法改正を加速する96条の改正が問題になっています。いわゆるアベノミクス効果により日本経済はあだ花の恩恵を受けています。しかしよく考えるとまだ国内の産業はなにも改善されず、給与も上がりません。恩恵を受けるのはいわゆるグローバル企業だけで、農業や漁業、さらに運送業などの基幹産業にはむしろ逆風を吹かせているのです。しかし、見た目の数値の向上に人々はひと時の歓喜に酔いしれているのかもしれません。

 両院で3分の2以上の票数を獲得することが憲法改正の条件ですが、すでに衆院は自民党がそれを達成し、参議院選挙でもおそらく経済の好転の印象だけで投票する国民が多数を占めることでしょうから一党単独で議席を確保することもありえます。そうでなくても日本維新の会も改憲論をもともと掲げており、ひところのブームは去りましたがいまだ根強い人気があります。民主党も自滅状態であるし、憲法論議にも力不足感が否めません。他の少数政党も非現実的すぎるか日和見かでなかなか信頼できません。参議院が憲法改正阻止の最後の砦なのですがきわめて危うい状況です。

 日本人のものの考え方が市場主義中心になってしまったのにはさまざまないきさつがあると思います。バブル経済とその後のデフレを経験し、ここに来て経済的格差が開き始めているのもその一因かもしれませんし、国際的な経済競争の中で日本の位置が低下の一途をたどっているといわれることへの焦りもあるのかもしれません。

 ただ忘れてはいけないのは、かつては普通にあった地域の絆とか国民としての意識は極めて限定的になりつつあることです。努力したものが報われない社会はおかしい、とは市場主義者がよくいう台詞ですが、自分さえよければそれでいいのかという問いに答えられない人が多いのも彼らの特徴です。私たちは物事を多角的に見る必要があります。

 もし参議院でも可決することがあったとしても国民投票があります。これは過半数が条件です。選挙制度自体が国民の意志を反映していない以上、最後はここで示すしかないのかもしれません。