はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

死の表現

  若い人たちの書いた脚本を読んでいると、かなり高い確率で死やいじめが登場します。演劇を組み立てる上で人生の重大事としてこれらはもっともわかりやすいモチーフであり、学生ならずとも多くの台本の描くところです。
  少し気になるのはその描かれ方が多分に類型的であり、時には空虚に堕している感があることです。実は死や暴力への恐れや悲しみはかなり個別的なものでありながら、それを表現する言葉や身体表現はよく似た形をとります。だから、それを芝居にする時、つい詳細事項を飛ばして結論を急いでしまいがちなのです。
  震災以来、日本人の死生観に変化が現れているという人がいます。おそらくこれからは新しい表現の仕方が生まれるのでしょう。私はそれが若い世代から出てくると予感しています。