私たちの生活が成長という段階を越えて安定という段階に達したという識者がいます。ところが、この安定というイメージが実に掴みにくい。現状維持が安定というなら、維持するだけのエネルギーが絶えず求められる訳であり、それを怠ると衰退に直結します。
加えて、資本主義というのは根本的に差をつけたがる。格差が利益を発生する源泉なのですから。このシステムの中で生きる限り、停滞はきわめて危険な賭けとなるので、神経質に発展を求めることになるのです。
私たちは安定という概念が実感できていない。それが不安を増大し、社会的な
抑鬱傾向を生んでいるのではないでしょうか。