はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

野良猫はいなくなった

 今日は猫の日なのだとか。単なる語呂合わせの記念日なのですがこのブログのネタとして使わせていただきます。

 私の使う駅の前にはかつて野良猫の棲家がありました。3本の植樹の根元に数匹の猫が縄張りを持っていたようで、その顔ぶれは固定していました。かつて書いたことがあるのですが、この猫には数名の圧倒的なファンがいて毎日のように餌を与えていたのです。猫にとっては天国のような場所だったのでしょう。

 その猫たちを私が見たのは朝と日の暮れた夜の通勤途中なのですが、朝はたいていその場所にいて、人間たちが電車に遅れまいとあたふたと駅に向かうのを横目に、のんびりと日向ぼっこをしていました。時には人の列に向かって置物のように座っているときもありました。可愛らしくもうらやましくも感じました。

 ところが、その駅前が地下駐輪場工事のために開発されることとなり、工事が始まったころから猫の姿が見えなくなりました。3本の樹のうちの1本が工事のため他の場所に移植され、その場所がアスファルトで覆われてしまいました。野良猫はどこに行ったのか、それ以来姿を見ません。

 野良猫自体がいることが問題としたり、餌付けをすることはけしからんという人もいます。確かにその通りであり理屈は通っているのですが、あの日常とは別の時間を生きているとしか思えない猫たちの姿は、少なくとも私にとっては、貴重な精神安定作用をもたらすものであったのです。その猫が人為によって駆逐されてしまったことがはかなくも哀れにも覚えます。

 別のことで心の癒しを求めなくてはならなくなりました。