古典文学を教える際に嫉妬する女性の話が出てくると必ず話すことがあります。なぜかくまで酷い嫉妬とそれにともなう仕打ちをするのかということです。
古事記の中にすでに激しい嫉妬をする
磐之媛のような存在がいるのは、女性にとって取り分け権力者の周辺の者にとっては嫉妬は必要な資質の一つであり、技能でもあったということです。
権力者の寵愛を独占することは、自らの保身のみならず、出身氏族の命運を左右する一大事です。だから嫉妬は排除されるべき悪徳ではなく、むしろ不可欠の素養だった訳です。古典文学を読む際、時代の常識に配慮すべきだと思うのです。