はてなの毎日

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記憶

  先日見たテレビの科学番組で現代病とも言える鬱病が人の記憶という能力と深い関係があるという内容だったことから様々なことを考えています。番組によれば、人類の遠い祖先と言える魚類において発生した扁桃体という脳の一部分は、天敵から身を守るために恐怖を感じた時に特定のホルモンを分泌する機能があるそうです。人類はその上に記憶やそれを補助する言語の機能を発達させたことにより、恐怖の体験を持続でき、結果として種の絶滅を逃れ繁栄に繋がったのです。ただ、この扁桃体は過剰な刺激を加え続けると暴走して制御が効かなくなります。現代社会は様々なストレスがあるためにこの暴走が起こりやすく、脳の萎縮といった身体現象が出てしまう。それが鬱病だという訳だ、そんな内容でした。
  確かに恐怖体験は残りやすい。私は小学生の頃海水浴に行って溺れかけたことがありますが、その時の感覚は今でも再現することがあります。フラッシュバックというのがどういうものかを私自身が認識する際の基準になっています。
  記憶というものが私たちの生活にいかに大切な役割を果たすものなのかは改めていうまでもありません。私たちは現実を生きていながら、同時に過去の記憶の積み重ねの中で生きています。これが欠落すると私たちの生き方は激変してしまう。記憶喪失をテーマにした創作は古今枚挙に暇がありません。最近は脳科学の知識も加わりよりその思いを強くしています。
  冷静に記憶という現象に向き合った時、自分の生き方は急に変わってしまいそうな気がします。私たちが今を生きるという意味そのものを問い直すことになるのです。