はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

世界を見ながら足元を考える

 TPPが大筋で合意に至ったことが大きなニュースとなっています。関税の撤廃や軽減は、一企業のみならず業界全体、場合によっては国家の経済全般に多大な影響をもたらすことになるので今後の行く末には大いに注目したいと思います。

 特に注意したいのが農産物です。安価な海外の産物がこれからは今まで以上に食卓を占めることになることは間違いありません。すると日本の農業は壊滅的な打撃を受けることになるでしょう。すでに多くの分野でそうであるように国産が高級品ブランドとして位置づけられることになると思います。

 米に関しては単なる商品として意味のほかに田園の存続、さらには米作を基本としてきた日本文化への影響は免れません。これから田んぼの風景は急速になくなるはずです。変わってそこにできるのは何なのでしょうか。

 食糧に関しては異常気象や新興国・途上国の人口増加などもあって、今後の安定的な供給を期待することはできません。農産国の環境破壊や安全性などもよく議論される割には解決策はありません。バターの供給不足がその予告のような働きをしています。バターは我慢できますが、穀物や食肉が同様の状況になった時、国家の危機が訪れます。

 TPPという汎国家的な協定の裏には地域の利益をつねに考えていなければならないという矛盾が内包されているのです。世界の情勢を見ながらも自国のことを考えるという手の込んだ思考を私たちができるかどうかが今後の国家の浮沈を握ります。