はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

先生受け

 ある生徒の随筆を添削していたらちょっと耳の痛い話がありましたのでご紹介します。その生徒は「好きなことを書きなさい」という作文課題はおかしいというのです。

 好きなことという指示に従って書いたものを提出してみると、もっとこのように書いた方がいいと内容に踏み込んだ添削をされたとのことです。こういう考え方はよくない、というようなコメントまであったそうです。好きなことを書けと言いながら、書いてみるとよくないといわれるのに疑問を感じたらしい。そんなことが何回か続いたというのです。

 でも、さすがにいつもネガティブなコメントを受けるのもよくないと思ったらしく、社会問題や時事的な話題を取り入れたところ、今度は絶賛の嵐になったとか。生徒は素直に喜ぶのではなく次のように考えたのだそうです。好きなことを書けと言いながら、先生にはあらかじめ評価する対象が決まっていて、そういう種類のことを書かなくてはいけないだと。本人の言葉を使うと「先生受け」する内容を書くことが大切だと思ったそうで、「好きなこと」は筆者(自分)ではなくて先生の好きなことだったのだと気づいたというのです。

 確かに生徒の作文の多くは「優等生的」な内容が多く、以前にもこのブログで書いたように予定調和的なものが大半です。それが生徒ではなく、教員の仕業であったことをあたらめて教えてくれる内容だったのです。

 私は好きなことを書けという課題は出しませんが、どのようなテーマであれ、生徒の意見の内容の是非と、論理的な文章作成の指導を混同しないようにしていきたいと痛感した次第です。