はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

疑心暗鬼

 外出自粛が続いた中で人々の気持ちが乱れているといいます。それは他者への思いやりという美徳が揺らいでいるのではないかという不安です。

 ソーシャルディスタンスはあくまで感染予防のためのフィジカルな距離のことです。ところが私たちは物理的な距離と心理的な距離を別にできるほど進化していないようです。自分とは異なる存在に対してその違いを容認する寛容さは、文明人の身につけてきた後天的な能力なのでしょう。これは常に意識していないとすぐに忘れてしまうようです。今回のような隔離を続けているとしだいに他者のことが分からなくなるらしい。

 ちょっとしたことで腹が立ったり、自分と同じことをしていない人が許せなかったりするのはどうしてなのでしょうか。マスクをしていない人に露骨に非難の表情を見せる人やなかには直接文句を言う人もいます。つい最近まで専門家がマスクには予防効果はないと説明していたことを忘れてしまったようです。

 他人の行動に対する疑心暗鬼はこういう生活を続けていればますます助長されるはずです。もともと高い同調圧力がますます高まっていけばウイルス感染とは無関係に息苦しくなっていくことを忘れてはならないのです。