はてなの毎日

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ネット句会

 リモート授業の一つとして俳句会をネット上でやってみました。その上で俳句とはどのような文学なのかを考える機会を得ました。

 生徒の作品をフォームで投句させ、それを匿名にして再びフォームにして選句させる。基本的にはこの方法で句会のようなものはできます。回収や集計はこのシステムの得意とするところですから、短時間で大人数の句会も実施できます。

 この意味でインターネット句会は効率的な方法ですが、少々困ったこともあります。それは参加者が同じものを見ていないということです。句会の中には先立って吟行と呼ばれる句作の機会を設けることがあります。句会の参加者は同じ対象物を共有し、その中に季題を見つけ表現していきます。インターネット句会はその作業が抜けており、共有共感の段階が脱落しているともいえます。

 俳句という文学は連歌俳諧連歌連句を祖としており、作者たちが同席して創作までの雰囲気を作り、その中から作品が醸成されるという性格を持っています。ただ作品を作ればいいというのではないのです。この印象を作者たちが心にとどめているうちは何とか俳句の世界の中にとどまることができます。しかし、ただ作った作品を品評しあうだけの機会と句会を考えるならば、その本質は大きく変わってしまうことでしょう。

 ネット句会の可能性を考えているうちに、俳句のあるいは文芸の核心にあたるものを思いいたるようになったというわけです。