はてなの毎日

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写真の芸術性

 先日、ザ・ミュージアムBunkamuraで開催中の「永遠のソール・ライター」という展示を観てきました。ニューヨークで活躍した写真家で、芸術写真の開拓者といわれている人らしいです。

 写真は工業製品であるカメラを使うために芸術の範疇から外れるのではないかという思い込みが私にはあります。この展示を観てその感覚は修正しなければならないと感じました。

 まず何を対象とするのか。そこにすでに芸術性があります。ライターの捉えたニューヨークなどの年の点描は極めて日常的な風景です。セットを組んだり、特別なモデルを用意したわけではなく町の風景なのです。ただその中の何に焦点を絞ったのかで、芸術の世界は開かれます。車の影からわずかに除く女性の靴にピントを合わせた作品がありましたが、これは偶然の産物であったとしても様々な寓意を感じさせてしまう索引になっていました。

 この写真家の有名な作品にガラスの反射や、雨などで水滴がついた状態でとった写真があります。いわば天然のフィルターを使っているのです。これらも私たちは一度は見たことがある、というより見慣れた普通の風景なのですが、それが写真となるといろいろなことを雄弁に語りかけてくるように感じるのです。

 写真の芸術性、可能性を開拓したソール・ライターの作品に触れたことで、日常の見直しをしたいという気持ちになっています。