氏名の漢字

　私の氏名にはいわゆる旧字が含まれます。かつてはこだわりなく使っていたのですが、免許やクレジットカードの更新のたびに表記の問題が問われるため、いまは康煕字典の書体にすることにしています。しかし、すべての文字がそうなのではなく、ある一文字だけにこだわりがあるのも考えてみれば不思議です。

　漢字はその太古に遡れば今とは異なる書体であり、さらに日本に入ってからも独自に書体を変えてきました。近代になると独特の略体表記も生まれ、一部は中国に逆輸出さえしています。そう考えると文字は何でもいいような気がするのですが、氏名となると話は別なのです。文字に自分のアイデンティティを重ねて感じるからなのでしょうか。

　渡邉さんと渡辺さんは別人であり、浜田さんと濱田さんも違う人であるというのは、本人だけのこだわりのようにみえて、実は切実な使い分けだったりもするので不思議なものです。