はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

国語教育

文章の型を教える

文章の書き方の基本である型を教える準備をしています。いわゆる小論文形式の作文をする際に、必要なスタイルを体感させて覚えさせる方法を模索しているのです。 いわゆる結論先出しの手法や、三部構成、四部構成の方法は理屈で説明してもなかなか身につか…

気持ちよく間違えてもらう

国語の授業に限った話ではありませんが、教員の仕事の大切な心掛けに、生徒が失敗をする機会を意図的に作るということがあると感じています。間違えがないように育てるのではなく、間違える経験を積ませる方が大切なのです。 我々は成功体験から多くのものを…

青空文庫で読書会

生徒に読書の楽しさを伝えるきっかけとして、授業中に読書会を行うことを計画しています。ビブリオバトルの手法も生かして、本を勧め合うことを目指します。勧められた本をすぐに読んでみる手段として青空文庫の利用を考えています。授業中の読書会ならば短…

口語文法の壁

中学生に口語文法を教えていて気づいたことがあります。文法は中学生にとっては難しいことの一つだということです。恐らく発達段階において文法のような概念は習得しにくいのではないかと思うのです。個々の現象を一定の基準の基に抽象化するのが法則という…

アクティブ・ラーニングのために

いま教育の現場では、アクティブ・ラーニングと称する学び合いの場をどうやって創出するかということが注目されています。教師が一方的に情報を伝達するのではなく、生徒同士が話し合いの中で答えを解決する筋道を見つける過程を重視する方法です。この方法…

要約の功罪

国語の教員にとっての目標の一つが、要約を作る能力をつけさせることです。要するに何が言いたいのかを適切にまとめる力は様々に応用ができる実用的なスキルです。 最近、少し気になるのはこの要約に当たるものだけが読まれ、詳細をたどる努力をしない人が…

国語教育に演劇制作の手法を

演劇部の練習では演じる役をどのように捉えていくかについて、役者本人だけではなくそのほかの部員ともよく話し合って決めていきます。台本というテキストを身体表現に変えることが演劇のスタイルですから、これは集団による解釈であるといえます。 読書は個…

誤答からの出発

参加型授業をやっていく上で表面化するのが、生徒の誤答をどのように処理するかということだと思います。自由に話し合わせるという方法は、単になんでもありという訳ではないはず。特定の範囲の中での期待値に生徒を導かなくてはなりません。 従来のように教…

具体化する力

具体的な例を挙げる力は思ったより大切なことのようです。そして、これにはかなりの個人差があることが分かりました。 具体例を挙げ、それを論拠にして結論を出すのが論理展開の基本です。その構造を踏まえて読解するのが読みの鉄則であり、文章作成では適…

参加型はライブ

参加型授業にするために大切なのは雰囲気作りと仕掛けだと考えています。授業は業(わざ)を授けるものである以上、一定の理想的な意見なり、解答に導くことが前提になります。しかし、その色が強すぎると生徒が思考する自由度が阻害され、参加することがで…

口語短歌

口語短歌が世間の注目を集めたのは、昭和の最末期に俵万智が「サラダ記念日」でベストセラー歌人になったことにあるのでしょう。それ以前にも口語で短歌を作る人はたくさんいましたが、それに市民権を与えたのは俵さんであることは間違いありません。 その…

読書会の計画

一冊の本を読んで各自の感想を述べ合う読書会を授業の中で行うことを計画しています。その時にいわゆる「褒められる感想」「優等生読み」だけにならないように導かなくてはならないと考えています。 国語のテストは通常ある一定の範囲内の答になるような問題…

話し合いの方法

参加型、対話型の授業を進める上で必要な要素に生徒同士での話し合いというものがあります。短い時間の中でメンバーの意見を出し合い、比較検討するというのは社会では必要なスキルの一つです。 ただ、これを教室でやらせようとすると意外に難しいことに気…

予定調和的な作文

生徒に作文を書かせると、差し障りの無いありきたりの結末にして済ませるものが多数提出されます。例えば小説の感想では、〜に感動した。私もこのように生きたい(そのようにならないようにしたい)といった教訓としてまとめるのがその典型です。小説は決し…

表意文字の意識を持たせるために

漢字の小テストといえば、カタカナを漢字に直せか、漢字の読みを書けの問題が定番ですが、この方法だと学習者は丸暗記をすることを優先してしまいます。漢字は表音と表意のハイブリッド文字であり、これが日本語における特徴になっています。 漢字文化圏であ…

百人一首をきっかけに

中学生に初めて教える古典作品として私の勤務校では「百人一首」を使っています。和歌という短い詩型であることが扱いやすく、学校の授業という限られた枠組にはまりやすいということもあります。 ただ、古文の学習にはストーリー性のある散文を読むことも必…

素材と型

中等教育の国語についての再考を行っているのですが、現在のところ「素材と型の伝授」という方向でまとめようと考えています。これは今までと基本的には同じなのですが、教える際の目標の軽重が無意識のうちに偏っていたのをバランスを考えて修正することだ…

演劇の手法を

新しい学力観に沿った教育をどうしたら実現できるかについて試行錯誤しています。私にとって一つのヒントになっているのが演劇の手法です。 言葉が自己と他者を媒介するものである以上、人間関係を俯瞰的に把握できる能力が求められます。自分とあの人はこう…

「国語」の答え

入試の時期になると必ず出てくる話題が「国語」の答えに関する話です。数学や理科と異なり、国語の解答にはある程度の幅があり、その不透明さが国語嫌いを生み出している。そもそも国語に一つの解答を求めるのはおかしい。文章の解釈は人それぞれであり、特…

知識応用力

先日、ある予備校の教員向けの講習会に参加してきました。その講師が強調していたのが、文科省の示した新しい学力観に対応した入学試験の導入が予備校の今後に大きな影響をもたらすとの見解です。知識量やそれを無批判に効率よく使う手際良さを競う今日の入…

答えさせたい答え

国語の大学入試問題の注を見ると出題者の苦労が伺えることがあります。なぜなら、注は本来なくてもよいはずのものなのに、敢えて付けているからです。極端なことをいえば、期待する解答を導くためにはこれをこのような意味でとってほしいという出題者の願望…

読みたくなる教科書

電車で乗り合わせた中学生が熱心に国語の教科書を読んでいるのを見かけました。試験前の復習にしては、あちらこちらを興味深そうに読んでいました。 教科書の文章は言ってみれば、おもしろい文章の詰め合わせのようなものであるべきです。授業が始まる以前か…

出題の意図

受験生に対して過去問を演習する日々が続いています。教員としては今ひとつ物足りない作業なのですが、さしあたって必要な技を提供するのも務めではあります。 過去問を解説していて気づくのは出題意図が明確な問題とそうでないものがあるということです。…

考える力を引き出すために

職場で教育のあり方を巡って話しあう機会がありました。私の勤務校は改革という点においては実に柔軟で毎年のように制度が変わります。一貫性がないということもできますが、それよりも社会の動きに対応することの方を優先していると言えます。 最近の教育界…

精読

最近は何でも速さが求められるようです。本を読むのもとかく速読と概略の把握に関心があり、じっくり読むということに価値観を置かない風潮があります。 書店にいけば速読術といった本はいつも一定の需要があり、なかにはあらすじだけをまとめた本もあります…

古典文の論理展開

古文や漢文の読解をする際に初学者が覚えておくべきことに、論理展開のパターンがあります。現代の評論の多くは結論に向かって一直線に論理が進みます。結論の先出しや問題提起により論点を明示する形が多く見られます。作文指導や、スピーチのやり方に関し…

出題者の視点

自分が高校生であった頃、今教えていることを理解していたわけではありません。よく、そうはいってもやはり得意だったのでしょうと言われることがありますが、そうではありません。今思うとこんなこともできなかったのかと赤面したくなるほどの無知であった…

ストーリーとしてまとめる

国語力の向上のために日記やブログを書くことを勧めます。ただし、この目的を達成するためには、あくまで第三者への公開を前提に書かなくてはなりません。自分だけしか分からない書き方や、仲間うちの符牒や世代や時代に依拠した書き方ではなく、あかの他人…

漢文

同僚の中にも漢文を教える意義について揺らいでいる人がいます。漢文は中国古典文であり、語学的な学習価値は低い。現代中国語とはあまりに違うのです。また、よく誤解されていますが、漢文はあくまで外国文学、もしくは思想の日本における享受のあり方を学…

完了と存続

古典文法を教える時、はじめの頃に生徒が混乱するのが過去と完了の助動詞が個別に存在することです。現代語では「昨日渋谷に行った。」も「今、渋谷に着いた。」も同じ「た」で表現するので区別はありません。古文には「行きき」「行きぬ」「行きにけり」な…