はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

国語教育

漢字テスト

漢字テストで満点を取るのに同じ意味の同じ漢字が作文などの中では書けない生徒がいます。ほとんど毎回、満点を取るのにそれができないのは不思議です。 こうした生徒はおそらく漢字を表音文字として覚えており、しかももととなる問題集の例文ごと丸暗記して…

文章読解力

中高生の基本的な文章読解力が著しく低下しているかもしれないという報告を読んで、強い危機感を覚えています。しっかりと文意が取れない人が増えることは、他人に操作されやすい人口が増えることでもあります。あるいは近年の民主主義の危機と呼ばれるもの…

意味の世界

国語教育で大切なのは意味を教えることであると思います。言葉の持つ意味、文の、そして文章の持つ意味を理解させることが大切なのでしょう。 最近の結果を求めすぎる傾向に乗って、言葉の意味を軽視する人が増えてきました。あたかも言葉は数学の記号のよう…

創作の指導

短歌や俳句、詩さらには小説などを書く授業は前々から取り組もうとしてうまくいかなかったものです。多分に趣味的なものとして軽んじられている様です。ただ、これからの時代に求められるクリエイティブなものの考え方はそうした創作の中で育まれるのかも知…

正解率0.7%の「難問」

大学入試共通テストの実施に向けた試行テストの結果が報告されています。改革の目玉である記述式問題の中に正解率が0.7%という問題があったというので、それを検証してみました。 当該問題は大問1の問3です。これは架空の青原高等学校の生徒会部活動規約…

古典に学ぶ

現代に比べると古典文学が生まれた時代の人々の社会は単純といえます。単純というのは稚拙とか安易という意味ではないことは周知の通りです。社会保障システムのない状況で生きるのは想像を絶する厳しさがあるでしょう。人権という概念がないのも私たちには…

言葉はあなたそのもの

学年末最後の授業ではいつもいう「ネタ」が言葉はあなたそのものだという話です。私たちは言葉で何かを伝え、言葉によって外界の現象を察知し認識します。その言葉の使用法の精度がその人の世界とのかかわりを決めてしまうという話です。 国語を勉強する意味…

伝わっていないことを前提に

中学生に国語を教える際に忘れてはならないのが、自分の「常識」と生徒のそれとの違いを意識することです。こんなことは言わなくても分かっているはずだという前提を置かないことが大切なのです。 私の教えている生徒は比較的学力が高く、家庭的にも恵まれた…

文法の扱い方

中学生に(現代日本語)文法を教えることに関してはいろいろな意見があります。文法を知らなくても普通に会話や文章作成ができているからそんなものに時間を割くのはおかしいのではないかという大前提論から、古典文法ならば教える価値はあるが口語文法は不…

小学校から英語学習もいいけれど

小学生から英語を必修科目として教えることは世界の流れだという人がいます。確かに国によっては母語の教育を後回しにしても英語を教えるところもあるようです。ただ、それは英語圏に隣接していたり、そもそも母語の独自文化の積み重ねが少ない国や地域での…

察しの悪い教員になる

指名して答えさせることは授業の中ではよくあることです。低学年の授業ではなるべく一時間に一発言はさせることを目的として指名を連発します。指名すると多くの生徒は答えを単語かその組み合わせで答えようとします。そしてそれは大体正解です。しかし、私…

言い換える練習

国語の力をつけるためにご家庭できることは何かといえば、語彙の数を増やすことにあると思っています。それもバラバラに数を増やすのではなく、関連付けて増やすことです。それは言い換えの習慣で増やせるでしょう。 「幸せ」→「幸い」→「幸福」→「ハッピー…

まだないものを作る力を支えるのが国語教育

教育の世界での価値観の変動は少しずつですが着実に起きています。そして2020年の入試改革を機にそれが形となって見えてくるようです。 今私が注目しているのが、まだないものを作る力です。つまり、現状では方向性が決まっていない問題に対して解決策を自分…

漢文学習の隠れた効用

漢文は生徒にとっては学習動機が上がらない分野の一つです。多くの生徒にとってセンター試験や私立や国公立大学入試に出題されることが唯一の学習理由になっているのが現状でしょう。でも、この漢文には隠れた効用があると思っています。 漢文は中国の文語文…

国語は授業では完結しない

国語の授業の改革を考える中でいろいろ気づいたことがあります。国語のような基礎科目は授業の中だけで完結させるのは難しく、生活全般が教育の対象となるのではないかということです。これは実は当たり前のことですが、これまでは触れてはならないことでも…

意見そして理由

自分の意見や感性を誰かに伝える場合は、まず意見を先に言い、その理由は後に述べるべきです。これは習慣にしておくべき基本的なスキルだと思うのです。これができると世の中の誤解はかなり減ります。 ツイッターなどの短い文であっても書き手の意図をくみ取…

言葉でないものを言葉にする

現在求められている国語力に非言語的なメッセージを読解する力があると思います。図やグラフ、ピクトグラムなどの記号などを読み取ったり、自ら表現する能力が必要だとされているのです。 コンピュータを触り始めた時にアイコンという言葉を知りました。ある…

歌物語を書かせる

中学生向けの古典の授業として歌物語を書かせるということをやってみました。伊勢物語や大和物語を勉強したあと、このジャンルの文学の特徴を直感的に分からせたかったのです。 まず紙を配り、そこに自作の歌かもしくは既成の歌を書かせます。それを回収して…

こじつける力

語弊を恐れずに言えば知らなくても切りぬける力を身につけさせるのが国語科の課題なのかもしれません。まず知識を蓄えてそれから考察すると言うのがこれまでの学習方法でした。その価値は変わらず重要だと思います。しかし、現実には知識不足の局面の方が遥…

小説読解指導の工夫

小説の読解を指導するのは実はけっこう工夫が要ります。小説の読みに関しては多様な方法があり、解釈も様々に分かれるはずなのですが、現在大半の学校教育で指導しているのは実はその前の段階なのです。つまり、様々な解釈をする前提として小説の基本構造を…

要するに

話の要約をさせていると読解力の個人差が見えてくることがあります。要するに何が言いたいのかを聞きたいのですが、話の詳細にこだわりすぎてその主旨がつかめない生徒がいます。教科書に書いてあること、先生の言ったことはすべて覚えなくてはならないとい…

電子添削あと一歩

国語の教員にとって文章の添削は厄介な仕事の一つです。文章力が試される時代になることは誰の目からも明らかであり、生徒にたくさんの文章を書かせたい。そして、アドバイスもたくさんしたいと思うのですが、実際にやろうとすると時間と労力がかかります。 …

作文の宿題をなんとかさせよう

文章力を向上させるためには非言語的なものを、言語化するという過程が欠かせません。極端なものは名前さえないものに名前を与え、それを言葉のシステムの中に落とし込んでいくという過程が求められます。高度な哲学的な文章などではこのことが繰り返される…

古典助動詞接続の覚え歌

古典の助動詞は文法問題の中核です。なかでも助動詞の接続の決まりを覚えることは大切な知識になります。昨今は単なる知識の詰め込みは無意味との説もありますが、助動詞は日本語を日本語らしくする重要な要素であり、その用法を理解することは単に古典の読…

あえて地域発想で

グローバル化が進む現況に対してあえて地域発想での現状打開を考えるという視点を考えさせる授業をしてみたいと考えています。生徒に現状打開のプランを考えてもらいます。国際的競争力を持つには他国と同じ条件で戦っても限界があります。自らの特性を知り…

四技能

最近、英語教育において4つの技能という言葉が盛んに使われるようになりました。聞く、話す、話す、書くという言語の各要素を捉えたものです。従来の英語教育が読むと書くに偏重していたことの反省に基づくもので、バランスよく全ての能力を高めることが今後…

反語の訳し方

古典の現代語訳には慣習的な方法があります。同じ国の言葉といっても、古典の文章を丸ごと現代文に置き換えることは難しく、どうしても近似値で答えることになります。 反語表現については、疑問文との区別のために、「いや、…ではない」をつけるのが基本に…

解釈を求めるのではなく

小説を使った授業では気をつけなくてはならないことがあると思います。それは一定の解釈を押しつけないということです。文学作品に対して読み方が一つしかないかのように考えさせるのは、明らかな間違いです。 もちろん、まったく的外れの読みがなされたとき…

推量の助動詞の婉曲用法

古典文法を教える時に一つのヤマになるのが推量系の助動詞をいかに把握させるかです。現代語では「う・よう」が大半を受け持ち、伝聞的なものは「らしい」「ようだ・ようです」「そうだ・そうです」が、打消の要素が加わったものは「まい」が担当しています…

教えさせる教え方

以前にも似たようなことを書きましたが、考えを整理するためにまた書きます。 協働学習が大切だと言われていますが、その過程に自らの経験の中でした獲得した知識や技能を他人に教えるという要素が大切であるということが分かってきました。 人に何かを教え…